『みんなの思い』 #2 近藤聡

第3弾は、コンサドーレバドミントンチーム最古参 #2 近藤聡が、

当時の想いを綴ります。

高校は地元の小樽から離れ、道内二位の高校、旭川実業に入学しました。

旭川実業は一度も道内で優勝をしたことがなく、僕たちが三年生になった時には、

「旭川実業を道内一位にしたい」と夢を持って入学しました。

僕が小中学生の時に組んでいた友人は札幌第一高校に入学していました。

その友人は一年目から団体メンバーに入っており、結果も出していました。

一方で僕は、あまり結果を出すことが出来ず、右膝のケガに悩まされる日々でした。

膝が曲がらなくなり、正座をすることすら出来なくなっていました。 

なんの為に地元から離れてここに来たのか、悔しくてそればかり考える日々。

ケガはひどくなり歩くのがやっとになりました。

監督にも休むように言われ、接骨院に通院することになりました。

先輩や同期のみんなは自分を磨き、どんどん強くなっていくのに、

僕は膝を治療に専念する日々でした。

右足は細くなっていき、体重も入学した時より10㎏近く減っていました。

悔しい気持ちが続き、やるせない日々が続きました。

少しでも気分を変えようと、一人でよく散歩をして、悔しい気持ちを紛らわしていました。

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そんな時、親から連絡がきました。

僕のことでなにか夢を見たらしく、気になって電話したとのことでした。

母が見る夢はたまに、"何かの知らせ"のようなことを、夢で見ることがあります。 

例えば、二歳上の姉もバドミントンをしていて、とわの森三愛高校に入学し、寮生活を送っていました。

そんなある日、姉の体調が悪くなって入院したことがありました。

姉は親に心配をかけたくない為、一切連絡を取らなかったのですが、夢を見て体調の変化に気づくことがありました。

そんなこともあり、今の自分の現状を家族に話しました。

すると急に不安や辛い思いがなくなっていきました。

今まで自分のことしか考えていませんでしたが、戦っているのは自分だけではなく、

応援してくれる家族やバドミントンを教えてくれた恩師、

小中学校の時にダブルスを組んでいたライバル、

応援してくれる友達がいるからバドミントンをしているのだと気づきました。また、

一から頑張って人生で一度しかない高校生活を後悔しないようにしようと思うようになりました。 

膝も治り、二年生の時にJOC北北海道大会ではダブルスで優勝し全国にも出場しました。

選抜の団体戦では全国でベスト8でした。

そして、三年生最後の年、

インターハイ北海道予選の2カ月前から居残り練習を一人でひたすらしていたのを覚えています。

サーブが得意ではなく、一人でひたすら練習しました。

練習の一時間前にきて練習することもよくありました。

一人で居残り練習をしていると一年生から練習をお願いされることが多くなり、

そこから徐々に後輩とも仲良くなっていきました。

気づいたら後輩だけではなく、同級生も居残り練習を一緒にするようになっていました。

そこで、チームが一丸になってきていると感じてきました。

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高校最後のインターハイ北海道予選

南北海道は予想通り圧倒的な力で札幌第一が優勝し、南北決勝にコマを進めました。

北北海道予選は帯広大谷高校との決勝でした。

時間は四時間近くの接戦となりました。

結果は3-0で勝ちました。

勝ってベンチに戻りホッとしていると、帯広大谷の選手は崩れるように泣いていました。

過呼吸になっている子もいました。あの時の光景は今でも鮮明に覚えています。

もしかしたら僕も、チームも同じようになっていたかもしれないと思います。

みんなその光景を見ていて、帯広大谷の分まで絶対勝とうと話をしました。

そして次の日に、北海道一位を決める南北決勝が始まりました。

自分たちが初めて、南北優勝するために戦いました。

試合中、観客席には一・二年生が大声を出して応援してくれている。

一年前とは違うくらい必死に応援してくれているのを感じました。

何が何でも勝ってほしい。その思いが伝わってきました。

戦っているのは出ている選手だけではなく、一・二年生もチームとして一緒になって戦っていると感じました。

結果、二十八連覇がかかった札幌第一高校を3-2で破り、旭川勢初の北海道優勝を果たしました。

個人戦では勝つことが出来ず、個人でのインターハイ出場はありませんでしたが、

北海道で旭川実業が初めて優勝したことはとても嬉しくいろいろなことが報われたと思いました。

自分一人、出ている選手だけが戦っているわけではなく、

応援してくれている家族、恩師、チームメイトがいて、

みんなの思いがチームを一丸にし、優勝することができたと思います。

今は、その時よりも背負うものは大きくなっているけど、

支えてくれる人がいるお陰で今でも選手として活動出来ています。

支えてくれる人を思い出せば、どんなことも乗り越えられると思いますし、

みんなで一丸となることで大きな力になる事を、

旭川実業に入学したことで、気づくことができたと思っています。 

たとえ優勝できなかったとしても、支えてくれる人の思いが伝わり、

自分の力を出し切ることができたので後悔しなかったとも思います。

 

これからの僕の選手生活はもうあまり長くはないけれど、

僕を支えてくれる方々へ恩返しをし、後悔しないようすべてを出し切って、

残りの選手生活を全うしようと思います。

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